京町家の設計思想
こんにちは。
今回は、京町家の構造について簡単にまとめたいと思います。
現在の木造住宅と京町家の建て方では、構法も思想も全く異なります。
現在の木造住宅の構法を
「木造在来軸組構法(在来構法)」と呼び、
コンクリート基礎の上の土台をアンカーボルトで緊結し、
土台の上に柱、そしてその上に梁を設ける構造です。
柱と梁は筋交いで剛性を持たせ、金具で緊結されています。
「建物に剛性を持たせ、構造自体で激しい揺れに力で
対抗しようとする構造で、地震に耐える」思想で
建てられています。
一方、京町家の構法を「木造伝統軸組構法(伝統構法)」
と呼び、栗石で地固めを行った上で、ひとつ石を据えて柱を
据え置くだけ。基礎がないんですね。
現在残っている築500年、築1000年のお寺と
基本的には同じ構法です。
「建物と地面の縁を切り、地震に対しては、
土壁と木組のしなり、粘りで建物を揺らしながら
力を逃がす」思想で建てられています。

この地震大国日本で、地面と縁を切って建物を建てるという、
先人の知恵と経験が詰まった、柔よく剛を制す「伝統構法」、
実は戦前の建物は全てこの建て方だったんですね。
しかし、大東亜戦争で負けて焼け野原になり、
絶望的な住宅不足に陥り、建てるのに時間がかかる
伝統構法ではとても追いつかない。
そのため、GHQの統治下にあった日本は、
急いでアメリカの建築法制や工学知見を参考に
現在の建築基準法を作ったんですね。
しかし、地震の少ないアメリカの法律を参考に作られた
ものであるため、実は日本には合っていないんですね。
自然の力に逆らわずに受け流す、という先人の知恵と経験の
詰まった伝統構法に対し、地震の少ないアメリカの
建築法制を参考に、住宅を大量生産できる体制を
敷いたので、本当は、伝統構法の方が日本には
ふさわしい構法だと言われています。
(アメリカは強かですので、将来、自国の建材を
売りやすいように、自国の建築法制を日本に
押し付けたのかもしれないですね)
私が京町家を購入する前に、さまざまな伝統建築を
伝承している京都の老舗工務店の棟梁の方々の
セミナーを受講しましたが、総じて仰るのは、
「きちんと改修工事を行えば、地震でも倒れない」
というご説明でした。
実際、国立研究開発法人 防災科学技術研究所
「E-ディフェンス」
という機関が、さまざまな伝統構法の建物で
大規模な振動実験を行い安全検証をされていますが、
阪神大震災レベルのマグニチュードでも、
どの建物も倒れていません。
https://e-defense.bosai.go.jp/classification/timber/
私はこの動画を一通り見て、京町家を守っていきたい、
と思いました。本当に希望をもらえた映像の数々で、
この研究機関には感謝の思いしかありません。

